海外の日本食レストラン数、調査後初めての減少▲6,000店舗
2025年 12月 1日 (月) ニュース&プレスリリース, 調査報告 by nobu
海外の日本食レストラン数、調査開始後初めての減少▲6,000店舗の181千店舗

2013年から2年に一度、全世界の外務省の在外公館の方々の協力を得て農林水産省が調査をまとめている「海外における日本食レストランの概数」の発表が、当初予定を1ヵ月遅れて11月28日夜に発表された。
発表が遅れたのは、初の減少だったからであろうか。これまでは、コロナの2021年でさえも1.9%増を保っていたのに、平時で6,000店の減少となった。
6,000店舗、率にして3.2%の減少がいったいどこの国で起こったのか?
農水省は、今年初めて、全世界の国別の日本食レストラン数と、その増減を発表した。この国別を見ると、▲6,000店舗の原因が見えてくる。
最大の減少は、やはり中国だ。▲15,260店舗減の63,500店舗と19.4%の減少となった。
フランスの減少も凄まじい。▲1,290店舗減で3,390店舗と率にして27.6%減となった。
他に減少している国は
ロシア ▲670店舗 21.1%減
台湾 ▲340店舗 4.6%減
イタリア ▲300店舗 12.2%減
スウェーデン ▲220店舗 41.6%減
コロンビア ▲100店舗 19.3%減
シンガポール ▲70店舗 5.8%減
アルメニア ▲50店舗 50%減
ところで、この181,000店舗というのは、日本人が経営に関与している日本食レストラン数のカウントでは決して無い。
農水省によると、①現地のWEBサイトや電話帳及びガイドブック等で、「日本食レストラン」、②現地の「日本食レストラン協会」などの団体に参加、③現地日本人会、日本商工会議所等で「日本食レストラン」として扱われている、④上記以外にも書く在外公館において「日本食レストラン」として認識されている。の①~④の何れかに該当するものを「日本食レストラン」としてカウントしていると説明されている。
したがって現地の方や、アジア系の外国人が経営する「日本食」レストランも、当然カウントされている。むしろ、日本人が一切関与していない日本食レストランが、全体の9割以上という説もある。いや、説ではなく、多分、その通りだろう。
海外で飲食店を経営するなら日本食を看板の掲げるのが繁盛のポイントだと言われている時期があった。アジア系、特に中国や韓国の方々が「日本食」を看板にするケースが各国で多数あった。
このこと自体は、レストランというビジネスをするうえで客が喜ぶ料理を提供するのは、至極当然のことで、日本食と看板を掲げることで、客が来るなら、当然のことだと思われる。
日本においても、日本人経営の中華料理屋は山ほどあるし、その昔、イタ飯ブームでたくさんのイタリア料理を提供する店が増えたが、イタリアで格式ある修行をしたり、イタリア政府に承認された店など少数派であったろう。
問題は、日本人が関与する・しないではなく、絶対数が減少した理由について、正しい認識を持つことだと思う。

潮目が変わったインバウンドブーム
人気の日本食であったが、海外の日本食レストランの多くは、日本や日本人とは無関係のいわゆる「なんちゃって日本食」が多かった。一時は大繁盛した。が、日本政府のインバウンド受入方針によって、「なんちゃって」が大打撃を受けたのだ。
それまで、ラーメンも天ぷらも美味しいと思って母国で食べていたが、いざ実際に日本に旅行に行き本場で食すると、今までラーメンや天ぷらだと思っていたものが、かなり違った。本物の日本食はとても美味しいじゃないかということになる。なんちゃっては日本食の看板を上げ続けにくくなったのだ。
特に、インバウンド客の多い国ほど、その影響があると考えられる。
ちなみに、インバウンド客の来日目的として掲げる第1位は、「日本食を食べること」ということが10年以上続いている。
素晴らしいことである一方、本物の日本食を本場日本で食べれば食べるほど、「なんちゃって日本食」の立場が追い詰められているともいえる。
(参考情報=インバウンド消費5兆円超 訪日観光客消費動向分析 https://www.assentia-hd.com/news_and_pressrelease/20240117/ )
更に本物の日本食がやってきて大打撃
そして、日本の飲食企業の海外進出が進展していることも影響している。
丸亀製麺のトリドールがその筆頭であるが、丸亀製麺の登場によって、天ぷらが手軽に食べられる店としての認知が世界各国で起きたことはご存知の通り。
コロナ後においては、日本の飲食企業の海外進出が加速している。
スシローはもはや海外店舗が日本の店舗合計よりも利益を稼いでいる。
天ぷらも寿司も一定の品質でリーズナブルな日本食が本物としてやって来ると、「なんちゃって日本食」は、もはや継続が出来ない。
今、本物の日本食にチャンスの時代
「なんちゃって日本食」によって日本食の認知は広がった。そして今、なんちゃってから本物へのシフトが行われている。
本物の日本食を提供するチャンスが世界各地に到来しているとも言える。
そこで考えるべきは、諸外国への日本食の展開方法。海外進出の経営体制の問題だ。
参考にしていただきたいのは、1970年代からのアメリカからの様々なフードビジネスの日本への進出だ。
マクドナルド、ケンタッキー・フライド・チキン、今は無きダンキンドーナツにミスタードーナツ、ドミノピザ、時代は遅れるがスターバックスコーヒー・・・ことごとくフランチャイズで日本市場へやってきている。そして、そのブランドを理解し、愛した日本人の加盟企業が、それぞれのビジネスを大きく成長させた。
決してアメリカでの成功要因の押し付けではなく、ブランドごとの強味を熟知したうえで、日本市場を攻略する最善の方法を日本の加盟企業が実践して、今日に至っている。
「郷に入っては郷に従え」という言葉があるように、それぞれの国で良い加盟企業にゆだねることがフードビジネスの海外展開の常識であると言えよう。
(参考情報=海外展開はフランチャイズが世界の常識 https://www.assentia-hd.com/news_and_pressrelease/20200507/ )
本物の定義。マクドナルドやKFC、スターバックスをアメリカのものであることを疑う人はいまい。
つまり、フランチャイズであっても日本食は日本食として本物としての認識をされるということだ。
日本は人口減少、労働力不足と言われているが、世界に目を向けると、課題は人口爆発であり、国によっては若者の働く場所が不足していることが課題となっている。
海外の市場にフランチャイズという戦略で挑んでみるには、最高のタイミングといえる。
結論
海外における日本食レストラン数は、数字上頭打ちの状況であるものの、実際には「なんちゃって」から本物への転換期を迎えている国・地域が出てきている。
これは更に成長する「踊り場」ともいえる。
直営展開や、日本からの食材輸出にこだわらず、日本食の知的財産を輸出するフランチャイズを戦略の中心に置くことで、より多くの企業がこのチャンスをものに出来るのだと思う。
海外フランチャイズについては、いくつか情報発信をしているので、参考にしていただきたい。
お問い合わせ、ご相談は、
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