地方でもOKな女性向けビジネス研究

「経営を学べるフランチャイズに出会えたことが感動です」

フランチャイズビジネスが日本で広がり始めた昭和の時代、ダスキンにしてもモスバーガーにしても、それぞれのフランチャイズは各本部の志や理念、経営者のカリスマでグイグイ加盟店を引っ張るケースが多かった。

いや、そのようなリーダーシップの無いフランチャイズは成長せずに淘汰されてしまったというのが正確な表現かもしれない。

「フランチャイズは経営を学ぶ場である」と言われていた。

 

それが、いつの間にか、「経営」ではなく「業態」に注目の軸が移ってきてしまったように思えてならない。

 

今回出会ったのは、ある意味では古い形のフランチャイズではあるが、世の中の流れが速く、先が見えにくい時代においては、むしろ

「本質」を振り返り、

「本質」に忠実であるべき

だと思うと、まさにフランチャイズの「本質」が詰まったケースであるように思うので、その観点でご紹介したい。

 

 

2018年1月に開催された日経フランチャイズショーの出展ブースを回る中で非常に気になった会社があった。

それは業界的に気になったことと、ブースで出会った本部経営者の発言内容に気になり、リサーチを進めた。

そして最近加盟され、1号店を開業された加盟企業経営者のインタビューを実施し、その思いが一段と強くなった。

「経営を学べるフランチャイズに出会えたことが感動です」とは、そのインタビューで加盟店経営者がしみじみおっしゃった一言であった。

「経営を学べる、経営を教えてくれるフランチャイズなど、これまで無かった。」既に3つ*のフランチャイズに加盟してきた社長は他との比較も込めて語気を強く語った。

*: 住宅、不動産仲介、コンビニエンスストア

 

「儲かってる?純資産は幾ら?」

本部経営者と初めて面談した際に、言われた質問が、「純資産は幾ら?」であったという。初対面の最初の質問だったそうだ。

「儲かりまっか?ボチボチでんな」の大阪漫才のセリフのような質問ではなく、企業経営を数年続けている中で、何を目標において経営をしているか?の確認の質問であり、本部経営者として加盟店に対して、持続性ある企業経営をするためには、是非とも指標にしてほしいという願いを込めた質問が「純資産は?」という質問であったのだ。

 

会社の売上や借金の額は答えられても、「純資産は幾ら」と即答できる経営者はどれほどいるだろう。

 

ただ企業経営において、年々変わる売上や利益に目を向けるのではなく、蓄積している純資産にこだわる経営を本部経営者は自ら目指しているし、加盟店にも伝えている。

純資産が蓄積されていれば、経営環境の変化に対応できる、社員を幸せに導いていける。そう考える本部経営者には、この業界での苦節の日々があった上での到達した経営観であった。

 

 

エステ、女性向けビジネス

このフランチャイズ本部は、ミスエステというエステサロンフランチャイズを展開する彩グループ。

創業は1987年。これまでは既存のエステ店舗に商品とノウハウを販売するいわば相手先ブランドでの展開であったものを自社ブランド化して展開し始めている。

本部の社員教育のマニュアル類を拝見するだけで、この会社がいかに様々な哲学・経営学を学んで吸収してきているのかが良く分かった。

そしてそれを分かりやすく社員の一人ひとりに腹に落ちるまで教育してきた歴史が、社員教育ツールに落とし込まれていた。

 

創業は32年前、同業種の会社から独立してスタートした際の社員は女性4名含む6名。その社員たちを育成し続けてきて、今に至っている。

 

なぜ売らねばならないのか?売るということはどういうなのか?

仕事は何なのか?生きるとは何なのか?

 

仕事をはじめてする女性にもわかりやすく説明し、心の底から納得できる教育カリキュラムの根底は、本部のそのような歴史にあった。

 

 

ミスエステでは、加盟契約の条件として、加盟店の社長が本部面談で合格を得るだけでなく、本部が合格を出せる店長候補を採用することを掲げている。

 

また研修開始に至っては、従業員6名を採用してからという基本ルールもある。

良い人材を採用できる経営者であることが、加盟の条件になっているのだ。

 

そして何段階かある研修の初期のベーシック研修の2週間には、男性の加盟店経営者自らも希望すれば参加することが出来る。

 

女性向け店舗ビジネスであるから、男性経営者は店がオープンしたのちには中々店舗内まで関与しにくい。

ゆえに最初の段階で、店長やスタッフと一緒にベーシック研修の2週間に参加し、そもそもの美容理論、肌の構造や生体メカニズム、美容に関する関係法令法規制を徹底的に学ぶ。

そしてフェイシャルケアの第一歩のクレンジングから始まる実務研修を受ける。

ここまでのベーシック研修の2週間を、経営者自ら本業を差し置いて参加出来るか出来ないか?は状況に応じて違えどそれくらい本気で第2第3の柱と思えるビジネスと言えるのだろう。

 

現場で起きる様々な事象に対して、店長の対応や判断が果たして正しいものであるのか?店長は何に悩んでいるのか?を本部だけでなく、加盟店経営者も正しく理解することが、重要だと本部は考えている。

 

これはどの商売でも同じなのだが、個々の人材の力以上に、店舗スタッフ全員のチーム力、チームワークが事業の成否を左右する。そのチームの中に加盟店経営者もしっかり入っていることが重要だとも言える。本質である。

 

業態は強いが、従業員の教育とチーム作りは加盟店の責務となっているフランチャイズが多いが、こちらの場合は、チーム作りも仕組み化されている。

 

地方でも強いエステ業界

エステ業界は近年注目を集めている。

外食産業が長年のデフレで20年前と変わらぬ客単価で収益性が下がり苦しんでいる中で、この業界は順調な伸びを示している。

興味深いのは三越伊勢丹グループがソシエワールドを買収するなど、異業種からの大型参入も増えているということだ。

「美しくありたい」という女性の根源的欲求に応えるビジネスは、都会でも地方でも成り立つビジネスともいえる。

今回加盟店取材をさせていただいた方は、人口6万8000人の静岡県伊東市でミスエステを開業されている。

伊東市は、伊豆半島の東側の温泉観光地。そこで住宅不動産・コンビニエンスストアをフランチャイズ加盟されているマルチフランチャイジーだった。

エステの対象は観光客ではなく、地元の女性。20代~30代の地元の未経験女性を採用し、地元の女性向けのエステを展開している。

9月初旬にプレオープンをし、合計8日間の稼働をし、今は本格稼働への準備期間なのだが、業績を聞いて驚いた。

既に初期投資3500万円の70%程度が2ヶ月で売上として確定するというのだ。

 

オープン前に従業員のトレーニング相手(モデル)としてお願いしていた地元の友人・知人を中心に8日間に100名近い方にご利用いただき、74%の方が継続利用の注文をしているというのである。

数字の詳細を述べるのは控えるが、にわかに信じがたい数字である。加盟店経営者も当初の計画の2倍以上の実績だという。

 

肌解析システムと5歳刻みの化粧品の威力

そもそも男性はエステの中身について詳しくないので少し説明をすると、エステ業界は、

・痩身(機械やハンドマッサージによる)

・脱毛(機械による)

・フェイシャル(ハンドマッサージや機械による)

・ボディ(ハンドマッサージによる)

の4つに区分されるが、ミスエステの場合は、フェイシャルとボディの店である。

 

そして、特徴的なのが、独自に開発した「肌解析システム」による肌年齢の解析である。

キメ、毛穴、シミ、シワ、透明度の5項目がそれぞれに〇〇歳と年齢表示され、総合的肌年齢も〇〇歳と表示される。

実際の年齢よりも若く出れば喜び、悪く出ている部分を改善するための方法を提案出来る。

 

そしてエステを数回実施したのちに再度測定して、その効果を感覚ではなく「年齢」という数字表示で実感できる仕組みになっている。

さらに、肌に合った化粧品を提案するというコンセプトで、何と「5歳刻み」で化粧品が商品化されている。

 

最近テレビCM等で「30歳からの」とか「50歳からの」という触れ込みの化粧品を目にするが、同じ年齢でも肌の状態は明らかに個人差がある。その個人差を単なる実年齢で判断するのは、そもそも無理がある。しかし、年齢に合わせた化粧品が必要ということで、肌解析+5歳刻み化粧品となったのだ。

医者がレントゲンや血液検査をして診断して薬を処方するようなものである。

お客にとっても納得感がある。効果実感や改善実感を持ちやすい。

 

そのような仕組みがあるので、お試しで利用した方々の74%が実際にお金を払って継続利用を決断しているようだ。

 

そんな業績を上げている伊東の加盟店の店長は、「毎日毎日、お客様に感動をしていただき、自分も毎日感動できる」と素直にこの仕事の楽しさを語ってくれた。

日々お客様に喜んでいただき、代金をいただき、お友達にも広がっていく・・・。

 

確かな技術・商品とツールに裏打ちされた仕組みなのだが、店長に成功のカギを伺うと、その回答は、技術・商品とツールではないと言う。

「お客様のことを本気で考えている」ということが伝わっているからだと。

 

セラピストの熱意と情熱

確かな技術・商品とツール。ある意味これはエステの最低限品質なのかもしれない。

それに加えて、「自分のことを本気で考えてくれている」=サービスが大きな差別化になっているだ。

ただ、飲食店と違い、個々のお客様へのサービス提供が一対一になりがちなエステの場合、そのサービス品質を一定以上に保つには、個々人の力量を超えた、店舗というチーム全体でのチームワークが重要となる。

女性だけの職場で、どのような組織風土を醸成すると良いのか?

この部分も本部の重要なノウハウである。

個人の目標とチームの目標、会社の目標、何よりもお客様の目標を上手にリンクさせるノウハウが、「自分のことを本気で考えてくれている人であり店だ」という思いをお客様に持っていただけることにつながっている。

 

エステを成功させるためのノウハウが各所に凝縮されているのだ。

 

経営について改めて学びたい

本部のノウハウには、様々な哲学・経営学が詰まっている。

稲盛哲学をはじめとする様々な経営学の手法や営業マン育成手法・・・凡そ消費者向けビジネスを成功させるために学ぶべき哲学・経営学が全て盛り込まれていると言っても過言ではない。

しかもそれが全て、自社の言葉でエステ流に置き換えられており、初めて働く女性のも分かりやすい形で、本部と加盟店のスタッフの日々の仕事の中に根付く形で標準化され仕組み化されているだ。

未経験の普通の女性を短期間に素晴らしいサービス精神溢れるセラピストに変え、セールスパーソンに変え、マネージャーを育成する。

持ち前の才能に依存するのではなく、ゼロから育て上げるノウハウは、この本部経営者の過去の歴史

が凝縮されている。

 

まとめ

外食産業が成長華やかしきころ、外食店舗で経営を学ぶということがブームになった。

小さな改善が直ぐお客様の反応につながり、売上・利益にも反映されることから、経営を実践的に学ぶ最高の場所であった。しかしそれは、外食産業全体が伸びている時の話であった。

 

女性市場、エステ市場に当時の外食産業の勢いを感じる。

 

そして日本全体が人手不足にあえぐ中、注目すべき未開発の人材は、中高年人材ではなく

就労経験の浅い20~30代の女性たち(主婦含め)である。

その就労未経験女性を教育し、成長する産業で活躍いただくという図式は、地方でも十分に成り立つモデルである。

しかも、女性を活用して素晴らしい業績を上げる経営ノウハウに溢れている。

 

 

人口6.8万人の伊東市で開業した経営者は、「伊東市をエステ市にする」と意気込む。

伊東市は人口が6.8万人というだけでなく、伊豆半島という閉鎖商圏で、かつ高齢化率50%である。

そんな地方で大成功を収めているノウハウを、是非、皆さまにも実感していただきたいと思う。

 

女性マーケットを女性活用で活性化する。

女性を活用するという視点でも大変学びの多いビジネスである。

 


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